研究課題/領域番号 |
19K23186
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
岩澤 政宗 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (50842994)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 計量経済学 / 機械学習 / サポートベクターマシン |
研究実績の概要 |
本研究では、近年発達している機械学習理論を計量経済モデルに融合することで、計量経済モデルの推定の改善方法を考察することを目的としている。 まず初めに、機械学習理論の調査と、機械学習理論を融合することで理論的性質の改善が見込まれる計量経済モデルの検討をした。当初の計画通り、機械学習理論としてサポートベクターマシン(SVM)を用いた場合について研究を進めており、SVMを用いた関数推定量の理論的性質と実装に関する先行研究の調査を行なった。近年、機械学習理論は多くの分野で研究が進んでおり、理論的な発展状況を把握しておくことは当研究を進めるために重要である。また、機械学習理論の経済学・計量経済学への応用についても活発に研究が進められているため、これらを調査することは、先行研究における当研究の立ち位置を明確にするために非常に意義がある。 次に、計量経済モデルの設定と仮定の下でのSVMを用いた推定量の漸近的な性質と、SVMを用いた推定量を実装した計量経済モデルのパラメータの推定量に関する漸近的な性質について考察した。特に、SVMを用いた推定量を実装した計量経済モデルのパラメータの推定量の漸近的な性質の導出については、現段階で改善の余地があり、この問題について引き続き取り組む。 実データへの応用として、計量経済モデルの第1段階の推定に機械学習理論を用いた実証研究を進めた。理論研究で得た結果を実際に応用する際には、その実装方法や計算コストなど、実データへ応用するための課題を把握しておく必要がある。実際に、応用には多くの課題があることが確認でき、課題の解決に継続的に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の研究実施計画の通り、機械学習理論を融合した計量経済モデルの推定量について、その漸近的な性質を考察した。有限標本のもとでの推定量の性質の理論的な解明については、その性質を明らかにする手法の調査にとどまり、実際にその手法を応用するまでに達することはできなかった。その原因は、初年度の学内業務の負担により、当研究課題への時間配分が限られていたことや、コロナ禍の影響により研究協力者との打合せが滞ったことである。一方で、2020年度研究実施計画を先取る形で実データ分析への実装をし、課題発見につながった。これらの成果を総合的に判断し、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
SVM推定量を実装した計量経済モデルのパラメータの推定量の漸近的な性質の導出の問題について引き続き取り組む。また、有限標本のもとでの推定量の性質について理論的に明らかにする。応用できる計量経済モデルがいくつか考えられているため、それぞれについてこれらの結果を考察する。得られた理論結果をより一般的な枠組みに置き換えることが可能であるかを検討する。シミュレーションと実証研究への応用により、理論結果の実用性と実装可能性を示す。 研究実施計画に記載したとおり、研究 成果を論文に取りまとめワーキングペーパーとして広く公開する。論文をブラッシュアップし国際学術誌への投稿・公刊を目指す。
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