本研究では、機械学習理論を計量経済モデルに融合することで、標本サイズが十分ではない場合でも精度の高い推定を行うことができる方法を提案した。分析対象に関する情報を持つ別のデータを用いて、データが十分に存在しない事象に対する分析精度を改善するという着想を実現するために、計量経済モデルのパラメータの推定方法に機械学習の分野で発展している移転学習の手法を融合させた手法を提案した。提案した手法の妥当性を示すために、推定量の理論的性質を明らかにした。具体的には、提案した推定量の漸近的性質(一致性と漸近正規性)を示し、有限標本における推定量の評価を行い、既存の手法と比べて、推定精度を改善できることを示した。
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