| 研究課題/領域番号 |
19K23188
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| 研究機関 | 武蔵大学 |
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研究代表者 |
笠松 怜史 武蔵大学, 経済学部, 専任講師 (50848364)
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| 研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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| キーワード | 政治的信頼 / チープトーク / 選挙競争 / 利益団体 |
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| 研究実績の概要 |
本年度は研究計画の順序を変え、研究目的(2)にある選挙における行動経済学・ゲーム理論的分析の研究である、(1)政治的信頼の動学と利益団体政治に関する研究と(2)議会政治における野党の反対とアカウンタビリティに関する研究の2本を実施した。
(1)の研究は、第一に「政治的不信頼の増加によって、利益団体政治が弱まる」ことを、静学選挙競争モデルを構築し、示した。その後、静学モデルを動学モデルに拡張し、政治不信と利益団体政治の相互作用はどのような政治不信の通時的変化をもたらすかを分析した。結果としては、「政治的信頼のサイクル」が発生する環境が存在することを示した。
(2)の研究は、「野党による反対は、有権者が与党を統制するために有用なのか否か」という問いに答えるために、第1期に与党が法案(政策)を決定、第2期に野党が法案に対して賛否を投票する、第3期に選挙という展開形ゲームを構築し分析を行った。結果としては、第2期の野党の法案への賛否が有権者にとってinformativeであったとしても、賛否そのものがチープトークである限り、与党の統制(アカウンタビリティ)に資さないことを示した。また、野党の法案への反対が牛歩戦術などのようにコストがかかる行為であれば、与党の統制に影響を与えることも同時に示した。
上述の研究以外に、昨年度以前より研究を継続していた"Informative Campaigning in Multidimensional Politics: The Role of Naive Voters"及び"Tax Competition and Political Agency Problems"が国際学術誌に採択された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書の本年度の研究計画の順番を変更し、選挙における行動経済学・ゲーム理論的分析の研究である、政治的信頼の内生的変化に関する研究と議会政治における野党の反対に関する研究を行った。その結果として、予定していた内容よりも興味深い結果が得られたと考えている。また、大きな目で見ると交付申請書の研究の目的からは決してそれていないため、研究の進展に問題があるとは考えていない。
業績の方でも、日本経済学会での報告及び2本の論文が国際学術誌に掲載されるなどの成果が得られた。
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| 今後の研究の推進方策 |
本年度開始した政治的信頼の動学と選挙競争など３つのプロジェクトを研究目的(2)にある選挙における行動経済学・ゲーム理論的分析の観点から研究を行うことを中心とする。上記の3プロジェクトについて、国内学会・研究会などでコメントをもらいながらブラッシュアップを進め、投稿までのプロセスに次年度中に到達することを目標とする。
また、現在進行中であるグローバル競争と貧富の格差に関する研究について。モデル構築、主要命題の証明作業を次年度の前半中に終え、国内学会・研究会などでコメントをもらいながらブラッシュアップを進め、投稿までのプロセスに次年度中に到達することを目標とする。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
2021年度考えていた国際学会参加や国内学会参加にかかわる旅費、研究活動(経済実験研究含)を実施するために必要と考えていた物品費及び人件費などが、コロナ禍の影響もあり、実施をすることが不可能であった。
よって2022年度は、昨年度実施を考えていた学会参加や研究活動のさらなる推進のために旅費・物品費・人件費を使用する。
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