組織における逸脱行動と技術革新の関係を明らかにすることを目的として,逸脱行動の指標化に取り組み,特許の質との関係を分析した.ここでいう逸脱行動とは,非行や反社会的行動とは異なり,発明者による建設的な逸脱行動(組織のために,上司の指示に背くこと)を指す. 逸脱行動を指標化するには,組織における発明者の孤立と,組織的に設計された事前の自由度という2つの点を捉える必要がある.これらを一部取り込んだ指標による分析からは,中程度の逸脱行動,すなわち本来のタスクから完全に離別しないものの,部分的にそうしたタスクを飛び越えた業務が革新の芽に繋がる可能性が見いだされた.
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