研究課題/領域番号 |
19K23201
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
庄司 俊章 成蹊大学, 経済学部, 助教 (10846801)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 物価 / 価格 / 経済主体の異質性 / POSデータ / ネットワーク |
研究実績の概要 |
2019年度は以下4つの研究が進展した。 第一に、2014年の消費増税時の消費者による備蓄行動を検証した単著論文の改訂を行った。具体的には、分析で用いるサンプルセレクションに関する説明を加筆し、論文全体の再構成を行った。 第二に、消費増税時の企業の価格改定行動を検証した単著論文の改訂を行った。特に、企業の販売製品数と価格改定行動の関係に焦点を当てることにより、企業の価格改定行動がメニューコストのみならず情報硬直性にも影響を受けていることを明らかにした。以上二点の研究論文については、今後国際的な学術誌への投稿を予定している。 第三に、製品入替と価格決定の関係を分析した共著論文を執筆した。具体的には、1980年代末から2017年までという長期のPOSデータを活用することで、スーパーマーケットで入手可能な財の価格や投入・退出に関する指標の時系列特性を算出し、サーチやマッチングが価格硬直性に与える影響を議論した。この論文は名古屋大学でのワークショップや、マクロ・コンファレンスにて研究発表する機会を得ることができ、聴衆から多くのコメントを頂戴した。 第四に、中国のベンチャーキャピタル企業のネットワーク形成を検証する共著論文を執筆した。具体的には、米国のベンチャーキャピタル企業とは異なり、中国では企業間ネットワークがベキ分布に従う傾向があることを発見した。この結果は、早稲田大学で開催された国際学会(NetSci-X 2020)にてポスター発表する機会を得ることができ、聴衆から多くの有益なコメントを受けることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように、複数の研究論文を前進させることができたことから、本研究プロジェクトはおおむね順調に進展していると判断する。 ただし、今後はこれらの研究論文における分析と執筆をさらに進め、学術誌への投稿作業を本格化させていくことが必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、企業や個人のミクロデータを活用した実証研究に取り組んでいく。今後は、これまで活用してきたPOSデータに加えて、不動産賃貸に関わるデータやクレジットカードの利用履歴なども活用していくことを計画している。
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