研究課題/領域番号 |
19K23201
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
庄司 俊章 成蹊大学, 経済学部, 助教 (10846801)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 物価 / 価格 / インフレーション / 異質性 / メニューコスト / 情報硬直性 / クレジットカードデータ |
研究実績の概要 |
2020年度は以下4つの研究について進展があった。 第1に、消費税増税時の企業の価格設定行動を検証した単著論文を改訂した。主要な結果は、企業が価格設定する際にメニューコストのみならず、情報収集コストにも直面しているというものである。この論文は2021年1月の米国経済学会の年次総会でポスター発表する機会を得て、有益なコメントを受けることができた。現在、国際学術誌から修正要求を受け、修正作業を進めている。 第2に、物価とインフレに関する世代間格差を検証する単著論文を改訂した。主要な結果は、退職済みの高齢者が若者に比べ、直面する物価水準は高い一方でインフレ率は低いというものである。この論文は東北大学および一橋大学のワークショップで発表する機会を得て、建設的なコメントを頂くことができた。現在、国際学術誌に投稿中である。 第3に、中国のベンチャーキャピタル企業のネットワーク形成を検証する共著論文を執筆した。主要な結果は、企業間ネットワークの次数分布がベキ分布に従うというものであり、研究論文の引用ネットワークなど他の応用例における結果と整合的である。この論文は日本経済学会の機関誌であるJapanese Economic Reviewに採択され、2021年1月号に掲載された。 第4に、クレジットカード決済データを活用して、2019年10月以降に日本政府が実施したキャッシュレス決済の推進施策に関する共同研究を行った。現在分析結果を取りまとめており、近く草稿を執筆・完成させる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究遂行には想定よりも時間を要しているが、複数の論文を国際学術誌への投稿にこぎ着けていることから、上記のように判断する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、POSデータやクレジットカードデータを活用し、ミクロレベルの異質性とマクロレベルの経済変動の関わりを検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、参加を予定していた国内・国際学会がリモート開催になったことで、旅費の計上額が想定を大幅に下回ることとなり、未使用額が生じている。今後、渡航制限が緩和された場合には、旅費を使用しての学会発表や情報収集を計画している。渡航制限が続く場合には、分析用の物品購入や論文投稿料、英文校正料などへの支出を計画している。
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