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2019 年度 実施状況報告書

ナイト的不確実性の国際的波及構造の分析

研究課題

研究課題/領域番号 19K23212
研究機関神戸国際大学

研究代表者

坂本 淳  神戸国際大学, 経済学部, 講師 (90845025)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード資産プレミアム / ナイト的不確実性 / 国際間共変動
研究実績の概要

基礎的な理論モデルの構築にほぼ見通しが立った段階であり、これから精緻化の作業に移っていく。モデルの基礎は、毎期一定の消費が配当として与えられるLucas-tree型を採用し、消費CAPMにおける確率的割引ファクターにナイト的不確実性が影響を及ぼす設定を考えている。但し、本研究は国際間の資産プレミアムの共変動に与えるナイト的不確実性の影響が研究の主眼であるため、一般的なLucas-tree型のモデルとは異なり、2資産での分析を進める予定にしている。
ナイト的不確実性の源泉とリスクの源泉が、それぞれ一次の自己回帰過程に従う設定とするか、双方に影響を与え合うベクトル自己回帰過程にするかの選択を理論計算の作業を見ながら決定しなければならない。ベクトル自己回帰過程が採用されるならば、同時点間の相関を許容するか否かの洗濯も重要になろう。また、モデルの設定が複雑になってくるため、解析的に内点解を得ることは非常に困難であると思われる。このことから、先行研究で得られているパラメータを援用した数値計算の必要も生じると思われる。
実証分析については、日本のデータについては、ある程度長期の時系列データをまとめて入手している。理論モデルの制約上、複数資産に分析を拡張することは難しいため、今回は2国間での分析に絞っていく。分析に適した主要マーケットとしては、ニューヨーク証券取引所が考えられ、現在CRSP(The Center for Research in Security Prices)からのデータ購入を行うべく、調査を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理論モデルについては、当初の想定よりも大きく進んだと考えられる。当初は2期で投資家が退出していくようなOLGモデルを想定していたが、この場合、仮定の妥当性と実証分析におけるデータの頻度との整合性に難があった。しかしながら消費CAPMによるダイナミクスを想定することで、これらの問題をクリアし、実証による分析において、強い仮定を必要とすることがなくなり、モデルのフィットも改善することが期待される。
一方で、解析解による資産ポートフォリオを得ることが難しくなったため、数値解を必要とする。C-CAPMで状態変数が現在2つあり、長期間による分析を必要とするため、数値解を得るために膨大な計算量を要する可能性がある。今後この問題に対処するため、マルチコアを用いた並列計算による最適化プログラムの作成に取り組む必要がある。
実証分析については、ニューヨーク証券取引所のデータを得ることができれば、無制約VARを直ちに分析が可能である。よって、おおむね順調に進展したといえるだろう。但し、現実への妥当性を重視し、数値解による解法を選択したため、理論モデルから明示的にVARパラメータの制約式を取り出すことが困難であると予想される。このことから、当初のwald検定を用いたモデルの検証は難しい。そこで、無制約VARモデルの推定のよって得られたパラメータのインパルス応答が、理論モデルで描写されるインパルス応答を再現可能かどうかという点から、モデルの検証を進めたい。

今後の研究の推進方策

理論モデルにおいて、解析解を必要としなくなったため、理論の計算作業そのものは少し負荷が低減し、時期が早まった可能性がある。しかしながら数値計算用のプログラムを作成する必要があり、この点でかなりの時間を必要とするかもしれない。また、プログラムが完成しても状態変数が複数動くようなモデルのため、収束に至るような初期条件を見つけ出すことに時間を要する可能性もある。現在のところ、今年度の10月頃までにはこの作業を完了させ、実際の数値解を得られるようにするのが目標である。
実証分析については、理論モデルからの制約条件を必要としなくなったため、簡単化することができる。アメリカのデータ購入が完了次第作業を行うことができるため、8月頃までには分析作業を完了させたい。
双方の分析が完了後、直ちに理論モデルの含意を、実証分析結果が概ね支持するような良好な結果が得られるのであれば、論文の執筆並びに投稿の作業を進めていきたい。本研究の成果は、国際間の資産価格の共変動について大きな含意が得られると考えられるため、政策提案については特に留意して執筆していく。これら執筆の作業については2020年度の1月~3月頃完了が目標になると思われる。また併せて学会報告も行っていく。
論文の投稿先としてまずは、Journal of Money Credit and Banking のような高いインパクトファクターを持つ海外雑誌を目標にしていく。

次年度使用額が生じた理由

デスクトップ型PCの購入にあたって、購入機種と導入する統計ソフトの検討をしていたところ、2019年度の使用期限を過ぎてしまったため。すでに購入計画は立てているので、2020年度中に使用予定。

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公開日: 2021-01-27  

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