研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、高等教育拡大に伴う一般技能労働力の蓄積が労働力の産業間移転を容易にする結果として、企業の技術開発や経済成長に与える影響について分析を行った。主要な成果として、(1)経済の発展段階が高まるにつれて一般技能労働への需要が高まることを理論的に示した。また、(2)ヨーロッパ12ヶ国のデータをもとにシミュレーション分析をした結果、TFPが高い国ほど相対的に一般技能労働が不足している傾向が観察された。
経済成長論
本研究の分析結果は、大学を中心とした一般技能教育拡大の必要性を示している。様々なタスクで使用可能な汎用性の高い一般技能の集積は、技術革新によって生まれた新しい産業への労働移転を容易にし、結果的に経済成長にも貢献する。本研究で使用したヨーロッパ諸国のデータからは、経済の発展度合いが高い国ほど一般技能が不足しがちであるという傾向が観察された。本分析結果は、日本における一般技能教育拡大の議論でも参考にしうるものである。