日本においては、子会社上場後、親会社と子会社の関係が長期にわたり維持されている傾向にある。また、親会社と上場子会社の役員を兼任する傾向もよく見られている。本研究の目的は、役員の兼任が、親会社と子会社の株主価値の向上に寄与できるのかを解明することにある。 2001-2016の子会社上場に関するデータを使い、検証した結果、親会社の役員が、子会社のCEOsを兼任する場合、株主価値を向上させることができる一方で、子会社のCEOs以外の役職を兼任する場合、株主価値を高めることができないことを明らかにした。したがって、日本の取締役会は監督、助言以外にも、内部労働市場の役割を果していることを示唆している。
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