研究課題/領域番号 |
19K23221
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
高山 直樹 一橋大学, 経済研究所, 講師 (10843790)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | マクロ経済学 / 家族 / 結婚 / 居住 / 労働 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで統一的には理解されてこなかった、結婚する・しない、親と同居する・しないという家計の基本的な成り立ち方が、どのようなマクロ的要因に規定されているのかを理解することが目的である。具体的には、同居を通じた家計における規模の経済や男女間賃金格差、女性の社会的交渉力といった家計の形態を左右しうる要因のうち、いずれが定量的に大きな影響をあたえるのかを、日本を第一の例にとりながら異質的な経済主体を含むマクロ経済モデルの構築を通じて明らかにしようとするものである。 2019年度は、日本の家計の形態の分布を再現できる結婚・同居のマッチングモデルを構築し、これを用いたシミュレーションを行った。 まず、本助成金により計量経済学的な処理を行うための環境を整備した上で、ターゲットとなる家計の形態の分布について国勢調査等のマイクロデータから推定を試みた。同居を通じた家計における規模の経済や男女間賃金格差、女性の社会的交渉力等の要素を分析に取り込むため、全国消費実態調査等のマイクロデータから住居のコストや賃金分布などをモデルのインプットとして検討した。 こうして得たモデルが現実の優れた描写として識別されれば、これを用いたシミュレーションにより仮説を検討することができる。本研究で行うシミュレーションは、モデルの構成要素を個別に遮断した場合にどの要素が家計の形態の分布に定量的に大きな影響を与えるかを評価するものである。上述したマイクロデータの反映についてはさらに検討を要するため試行的ではあるものの、何が家計形成の意思決定を規定している要素かを定量的に明らかにするためのシミュレーションを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大により、マイクロデータの分析に必要な資源へのアクセスに制約が生じたほか、アクセプトされていた米国での学会報告が行えなくなるなど、当初予期していなかった事象が発生した。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロデータの分析に必要な資源へのアクセスや学会報告については今後の新型コロナウィルスに関する状況の展開に依存するところはあるが、引き続き日本に関する分析をブラッシュアップしていくとともに、本助成金を用いてより大きな計算量の推定・シミュレーションを行うためのハードウェアとソフトウェアを追加した上で、国際的なセンサスのデータベースであるIPUMS等を利用し、米国などの他の国のデータに対してもモデルが説明力を持つかを検証するなど、本研究を日本に限らない一般的なマクロ経済学の問いに答えるものとして確立することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、アクセプトされていた米国での学会報告が行えなくなるなど、移動に制約が生じたことによる。この次年度使用額については、代替的な学会報告のための旅費として使用する計画である。
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