研究課題/領域番号 |
19K23229
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
原田 拓弥 青山学院大学, 理工学部, 助教 (70847201)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 人口合成 / Simulated Annealing / GIS / 社会シミュレーション / 基盤地図情報 |
研究実績の概要 |
本研究では,町丁・大字より細かい粒度で,住所の番地に該当する街区の特徴を反映した人工社会を合成する.そのために,1. 街区レベルの統計表と整合する日本全国の人工社会の合成と,2. 街区の境界を推定し,3. 合成した世帯を街区内の建築物へ割り当てる. 人工社会の合成では,複数の統計表から得られるマクロな情報からミクロなエージェントの属性を推定している.しかしながら,これまでの手法における居住地属性の合成では,町丁・大字レベルの統計表までしか考慮されていない.したがって,共同住宅と一軒家が混在する町丁・大字においては一軒家と思われる建築物に10世帯以上居住する人工社会が合成されていた. 令和元年度は1. 街区レベルの統計表と整合する日本全国の人工社会の合成に取り組んだ.そのために,探索手法の1つであるSimulated Annealing法を用いて,国勢調査 小地域集計に掲載されている基本単位区別の世帯数や男女別や町丁・大字別の人口分布などの統計表と人工社会から上述の統計表と同様の人工統計表を作成し,実統計表と人工統計表の統計量の差を最小化する手法を開発した.開発した手法を用いて,大阪府高槻市を対象とし,パラメータの調整を行なった.パラメータの調整後,日本全国1741市区町村において開発した手法を用いた合成を実施した. 令和2年度は2. 街区の境界を推定に取り組んだ.そのために,国土交通省 国土地理院が提供する基盤地図情報の道路淵データなどを用いて,道路で囲まれた街区の境界ポリゴンを推定した.推定した街区の境界ポリゴンと総務省統計局で閲覧した基本単位区地図を比較したところ,複数の街区を結合し,1つの境界が構成される場合や1つの街区の中に複数の基本単位区境界が含まれる場合が存在した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は合成した世帯を基本単位区内の建物へ割り当てるために,2. 街区の境界を推定に取り組んだ.具体的には,国土交通省 国土地理院が提供する基盤地図情報の道路淵データなどを用いて,道路で囲まれた街区の境界ポリゴンを推定した.しかし,基本単位区境界は複数の街区を結合し,1つの境界が構成される場合や1つの街区の中に複数の基本単位区境界が含まれる場合が存在した.そのため,街区境界データを用いて基本単位区の境界データを推定することで精緻なデータの合成が可能になる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として推定した街区境界を用いて基本単位区境界を推定する手法を開発する.基本単位区は50世帯程度を対象に分割されている.よって,建物の用途を推定し,街区の中で建物の用途に応じた基本単位区境界を推定する.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度の研究から基本単位区境界は複数の街区を結合し,1つの境界が構成される場合や1つの街区の中に複数の基本単位区境界が含まれる場合が存在することがわかった.令和2年度に推定した街区境界データを用いて基本単位区境界データを推定するために,建物の用途を考慮することを検討している.深層学習を用いて日本全国の建物の用途を推定するために,高性能なGPUを購入する必要がある.
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