既存研究では、チェーン小売企業の仕入・販売の管理様式や出店戦略に対して有益な知見が提供されていたものの、異なる研究領域で個別に論じられてきたため、両者の関連性については十分な検討がなされていなかった。これに対して本研究は、在庫管理様式の観点から、出店戦略の意思決定メカニズムを理論的・実証的に検討した。この試みは、理論的関連付けが希薄であった双方の知見を架橋し、小売企業の出店戦略を捉える新たな視座を提供した点で学術的意義が見出せるであろう。また社会的意義として、多店舗化に取り組み仕入・販売活動の管理問題に直面している小売企業に対して実務的含意を提供した点で、一定の成果が得られたと考える。
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