研究課題/領域番号 |
19K23234
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
五島 圭一 早稲田大学, 商学学術院, 講師(任期付) (10843956)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | オルタナティブ・データ / 自然言語処理 / アルゴリズム取引 / 実現ボラティリティ / 深層学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、資産運用におけるオルタナティブ・データの利用可能性を検証することを目的としている。オルタナティブ・データの利活用は、金融業における人工知能技術の応用領域やフィンテックとしても注目が高まっている。初年度は、利用可能なオルタナティブ・データを検討するとともに、分析のためのデータベースの構築や高性能計算機の利用準備を行った。さらに、取得できたデータの一部を利用して金融市場に関する実証分析を行うことで、以下の2点の研究成果を得られた。 1)日々配信されるニュースのテキストデータを自然言語処理、なかでも深層学習の技術を応用することでニュースの指数化を行った。具体的には、景気ウォッチャー調査の景気判断理由集を訓練データとして畳み込みニューラルネットワークによる教師あり学習したのち、12年間分約150万本の日本語ニュース記事の極性判断を行い、日次で集計することで景況感ニュース指数を構築した。そして、構築したニュース指数はリスク指標の1つである実現ボラティリティの予測に利用できる可能性を見出した。 2)中央銀行のウェブページへのアクセスデータを加工することで、アルゴリズム取引の1 つである「ニュース・トレーディング」戦略の活発度合いを捉えられる可能性があることを明らかにした。そして、金融政策アナウンスメントにおいて、アルゴリズム取引が外国為替市場のボラティリティの上昇に寄与し、さらに、こうしたボラティリティの上昇を通じて、間接的に市場流動性の低下をもたらした可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウェブ・スクレイピングや共同研究の構築によりテキストデータを中心にオルタナティブ・データを利用できる環境を整備した。さらに、研究成果をまとめた論文が査読付学術誌に2本掲載された。一方で、Covid-19の影響により参加予定だった学会が延期・中止になり、研究成果発表の一部は次年度へ延期となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は参加予定であった国内外の学会の多くがオンラインに移行するので、発表及び聴講できる環境を整備する。そして、研究成果をまとめて、学術誌への掲載を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響により参加予定だった学会に一部参加ができなかったため、予算を次年度に繰り越している。
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