本研究はデジタル技術発展により生まれた新しい組織化形態であるオンライン・コミュニティに着目し、参加メンバーのオンライン上での業務外インタラクションがいかに組織化されるか、およびそのオンラインでのインタラクションがメンバーの実際の実務や活動にどのようなインパクトを与えるか、を明らかにすることを目的とした。本目的をふまえて、最終年度として以下3点の研究成果を創出した。 1点目として、対象となるオンライン・コミュニティの全コミュニケーション・データログおよび参加メンバーの属性データを入手し、メンバー個人レベルのコミュニティ貢献度合いに関する回帰分析、コミュニティ全体のコミュニケーション構造に関するExponential Random Graph Model分析、メンバーのインタラクション規定要因を明らかにするStochastic Actor-Oriented Model分析を実施した。2点目として、コミュニティ参加メンバーへのインタビュー調査・分析を実施した。定性データ分析を通して、どのようにオンライン・コミュニティが計画・発生・成長し、参加メンバーはどのように反応し、最終的に各メンバーがコミュニティ参加から何を得たかについての知見を抽出した。3点目として、オンライン・コミュニティ上の協働による問題解決過程を分析することで、データなどの問題解決に資する共有資源がコミュニティ上でどのように活用されているかについての知見を得た。 これらオンライン・コミュニティの分析を通して、デジタル社会における新しい組織化形態およびそれを駆動するメカニズムについて新たな学術的・実務的知見を導出した。
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