研究課題/領域番号 |
19K23239
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研究機関 | 神戸国際大学 |
研究代表者 |
齋藤 雄太 神戸国際大学, 経済学部, 講師 (80847822)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 通貨統合 / 通貨同盟 / 政治経済学 / 資産価格 / 集団的政策決定 |
研究実績の概要 |
本研究は通貨同盟における退出オプションの存在が、加盟国による集合的な金融政策の選択に与える影響を分析する。ギリシャ危機やBrexitな ど、経済通貨同盟からの退出行動は欧州において大きな社会問題になっているが、経済学の観点から言及できることは限定的である。ある国 がどのような状況下で合理的に通貨同盟を退出するのか。ある国の退出行動は通貨統合内の金融政策運営にどのような影響を与えるのか。退出行動を防ぐために、通貨同盟はどのような制度を 備えるべきであるか。このような素朴であるが時局的な問いに関して、定性的な答えを提示することが、本研究の目的である。
当該年度においては、前年度に完成させた理論研究("A Note on Exit and Inflation Bias in a Curerncy Union")をより発展させた研究("Exit Expectations, Time Inconsistency, and Optimal Design of Currency Unions")を新たに行った。具体的には、2地域通貨同盟モデルにおいて、ある国の退出確率が上昇が、金融政策決定委員会における最適な投票力(voting weights)に対しどのように影響を与えるか分析した。結果は、退出確率の上昇が起こった場合、経済成長率の低い国が高い力を持つような制度設計にする必要があることを示した。また、本テーマの派生研究として、パンデミック下においてロックダウン政策が資産価格に与える影響を分析した("Asset Pricing During Pandemic Lockdown"、坂本淳氏と共著)。本論文はロックダウン政策が資産価格に負の影響を与えることを理論的に示し、学術雑誌Research in International Business and Financeに採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画における理論モデルは完成し、現在は発展的な研究を複数進めている。その点では当初の計画よりも進展している。しかしながら、新型コロナウイル スの流行の影響で予定した学会に参加できず、論文を学術雑誌への投稿できる段階まで推敲できずにいる。この点に関しては当初の予定よりもやや遅れている。総合的に は、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2つの未出版論文("A Note on Exit and Inflation Bias in a Curerncy Union"、及び"Exit Expectations, Time Inconsistency, and Optimal Design of Currency Unions")の学会発表及び学術雑誌への投稿に備え、改訂を進める。それと同時に、通貨同盟における議長の役割と期待形成の関係を分析した理論研究("The Role of Expectations in a Model of Agenda Setting in Currency Unions")を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行の影響で、参加予定だった学会の開始が中止やオンライン開催になったため。
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