本研究では,まず日本国内に本社のある上場企業3,758社を対象として質問票調査を行い,回答結果に対して多変量解析による統計分析を行った。分析の結果,先行研究で明らかにされていた,マネジメント・コントロールが組織慣性の克服に寄与する,という発見事項について,それが常時成立するわけではなく,一定の条件が必要である点を明らかにした。 さらに,民間企業23社の経営者,管理職ならびに組織メンバーへのインタビュー調査を行った。インタビュー内容を分析した結果,現場からのボトムアップでは既存事業が持つ慣性から抜け出すことができず,新規事業の推進が困難になりがちであることが明らかになった。
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