本研究では、2008年に立ち上げられた「女性と貧困ネットワーク」に積極的に関わった女性たちへのインタビューをもとに、つながりが希薄化して個人がバラバラにされていく「個人化」が進行するなかで、彼女たちが自分と同じような状態におかれている他者に対する「弱さ」への共感により、対等な立場から互いを気づかい合うことで、つながりをみいだしていることを明らかにした。特に20~30代の女性たちは、社会的に存在しない者として扱われ、社会規範により存在が問題視され、家庭や職場で補助的な労働を押しつけられるといった社会が生み出す矛盾を、自分たちが抱え込まされていることに対して怒り、その怒りを社会に表出しようとした。
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