研究課題
研究活動スタート支援
本研では、都市部非正規労働者として働く若者たちによる労働組合実践とその経験内容について、ビジュアルエスノグラフィーの手法を用いて明らかにすることを試みた。主たる成果として、「物流倉庫」「事務所」「カフェ」「路上」という複数の社会空間の連関という視点から、労働組合実践の重層性を記述していくアプローチを確立したまた、労働組合という社会的装置がいかに作動するのかを、映像資料を用いてその物質的・存在論的な水準から記述していく道筋をみいだすことができた。
都市社会学
本研究の学術的意義としては、従来の労働運動研究における社会運動論アプローチの蓄積を踏まえつつ、社会的装置としての労働組合が作動していく力学を、その個々人の生きられた経験の物質的・存在論的水準から記述していくアプローチから明らかにしたことにある。その成果は、不安定な労働環境・条件や過重な労働という現代社会が抱え続ける課題に対し、労働組合という社会装置を有効かつしなやかに活用していくための知見を提供しうる、という点で社会的な意義をもつと考えられる。