昨年度の方針を引き継ぎ、エスニックヒエラルキーに基づく差別行動・態度形成の研究を行っている。具体的には、外国人に対する好意の階層的順序であるエスニックヒエラルキーに基づいて、差別の程度が異なっていることを実験を通して検証し、ヒエラルキー順位が髙い外国人はより採用者個人の態度に左右されやすいことを見出した。 今年度は同研究内容をアメリカ社会学会で発表し、コメントをもらった。本発表のコメント、そして昨年度の国内における学会発表内容に基づき研究を論文化し、現在は国際誌に投稿中である。 これに加えて、どういった企業においてエスニックヒエラルキーをもとにした差別がより起こりやすいのかを検証し、日本語の論文としてまとめている。現在執筆中であり、将来的に国内誌に投稿する予定である。 また、主な研究はweb調査会社のモニターとして登録している企業の採用担当者を対象に行なったが、こうした人々の差別的行為は一般の人と比べて傾向が異なっている、もしくは同一である可能性がある。同一である場合には、あえて採用担当者に対して実験を行わなくとも良い可能性が拓ける。追加の実験を行い、最初の調査で収集した採用担当者の分布を再現する形で、非採用担当者を対象に外国人に対する差別の実験を行った。結果として、採用担当者のほうがより外国人に対して差別的になるという結果となった。この結果は現在国際誌に投稿するために執筆・修正中である。
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