研究実績の概要 |
本研究の実施に当たっては新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、研究計画の大変更を余儀なくされた。期間内に渡航することはできず、オンライン講義への対応などに多くの時間が割かれることとなってしまい、研究の時間が著しく削られてしまったため、研究期間の延長をしていただいた。2020年度に参加する予定であった欧州比較経済体制学会には2022年9月にオンラインで参加することができた。現地でさまざまな研究者と交流を深め、意見交換したかったが、残念ながらそれはかなわなかった。ただ、ハイブリッド開催となりオンライン参加が認められたため、研究報告を行うことができたのは幸いであった。海外渡航に伴う制限は大きく、当初の予定を大きく変更し、国内でも入手可能な研究資料を利用し、統一以前の東独における女性労働に国家がどのように影響を与えたのかについて分析を行い、その成果を国家の役割再考―ドイツにおける女性労働をめぐって」という論文にまとめた。本論文は溝端佐登史編著『国家主導の経済学』の第9章に所収され、2022年12月に文眞堂より刊行された。 欧州旧社会主義国における男女間賃金格差についての研究を一橋大学経済研究所の岩崎一郎教授と共同で行った。本研究では先行研究52点が報告する667推定結果のメタ分析による統合・比較を行うことにより①体制移行期を通じた欧州新興市場における男女賃金格差水準の推定②男女賃金格差水準のEU加盟国と非加盟国の差異③男女賃金格差の長期的趨勢の3点を明らかにした。本論文"Gender wage gap in European emerging markets: a meta-analytic perspective"は2023年2月に Journal for Labour Market Research, 57(1)に掲載された。
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