研究課題/領域番号 |
19K23266
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
太田 美奈子 新潟大学, 人文社会科学系, 助教 (80846915)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | メディア文化 / テレビ / テレビ電波 / インフラストラクチャー / 青森県 / メディア考古学 |
研究成果の概要 |
本研究は1950年代、新しいメディアとしてのテレビが地方に普及する過程について、青森県を事例として実証的に調査し、東京中心のテレビ史を相対化することを目的とした。県内各地で聞き取りと資料収集によるフィールドワークを実施した結果、大都市のテレビ史ではほとんど言及されることのなかった、テレビ電波環境の重要性が立ち現れた。地方では電波環境の整備に時間を要したため、各地で次第に建てられていく電波塔は電波受信可能圏/不可能圏を生み出し、電波をめぐって様々なドラマが引き起こされたのである。地方には「テレビを視聴したい」という欲望の一段階前に「テレビ電波を受信したい」という欲望があったことが明らかになった。
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自由記述の分野 |
社会学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、番組内容の受容とは異なるテレビ受容の歴史を明らかにした点にある。従来の初期テレビ史の研究では、力道山や皇太子御成婚パレードに代表されるような番組の視聴が議論の中心であった。これに対して本研究では、大都市から地方に視点を移すことによって、電波受信に熱中するいわば「視聴者以前」の受容者像を発見した。さらには、この受容者像によって、下部構造からメディア文化を捉え直す意義を示すことができた。多くのメディア媒体が無線技術を用いる現代において、はみ出す/満たせないといった電波環境をめぐるメディア文化は世界中で生まれており、本研究はこのような現状を理解するための嚆矢となり得る。
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