福島で語られる「風評」は時として実態がなく捉えどころがない.消費地である東京や大阪において,福島県産特に魚介類を買わない理由として「放射能リスク」をあげる住民が多かったことは,福島県の漁業関係者からすれば「風評被害」である.また報道量が多いほど「風評被害」を生じさせていることが確認されたことは学術成果として大きい.こうした報道は主に福島発ではなく東京発のものであり,事故後10年を経ても第一原発事故の深刻さを物語る報道が多いことが理由である. そういった意味では,福島が復興に向かって着実に歩んでいることをあらゆるメディアを利用して国民や世界に伝える事の必要性が改めて浮き彫りになった.
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