本研究の目的は、高齢者介護施設における介護ロボット導入の参加型意思決定モデルを開発することである。2023年度においては、介護ロボット導入の意思決定プロセスや利用状況を把握するために、介護老人福祉施設における介護ロボットの導入・利用等の状況に関する郵送調査に関する論文「介護老人福祉施設における介護ロボットの導入・利用の特徴と効果」を公開した。本論文では、全国182か所の介護老人福祉施設における介護ロボットの導入・利用の実態と効果に関する調査結果を確認した。介護ロボットの導入状況としては、介護施設見守りの介護ロボットが最も導入されており、それらの介護施設見守りや、介護業務支援の介護ロボットを導入検討の対象とする施設が比較的多かった。110か所の介護ロボット導入施設における介護ロボットの利用状況については、介護ロボットの種類によって導入施設数が少ないため、慎重な結果の解釈が必要ではあるが、介護施設見守りや、移乗介助(非装着型)、介護業務支援の介護ロボットが比較的想定通り利用されていた。また、排泄支援(排泄予測)とコミュニケーションの介護ロボットは想定通り利用できている施設と利用できていない施設が分かれていた。移乗介助(装着型)の介護ロボットは、想定通り利用できていない施設が比較的多かった。最も利用できている介護ロボットの種類については、介護施設見守りの介護ロボットと回答した施設の割合が最も高く、それらの介護ロボットの導入経緯として比較的多く回答されていた項目としては、導入の進捗状況を施設の上層部が把握していることや、管理職や一般職員の提案で導入の検討が始まったこと、導入理由が施設全体に周知されていること、利用方法の学習機会があったこと、利用開始時に利用上の問題点や工夫の情報が共有されていたことが挙げられる。
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