音楽ジャンルや様式、参加者の属性あるいはバックグラウンドや実施の場を問わず、多様な音楽学習実践を対象として、その学習過程がどのように組織化され、展開されているかについて、学術論文、調査報告、出版書籍、楽譜等のテキストブック、インターネット資料などを収集した。それらのデータから学習の段階性、構成要素、教材、評価の観点や方法等について抽出・分析をおこない、身体技法習得としてみた音楽学習の特性について考察した。 またその調査・分析と並行し、2019年度と同じく、東京都西部を中心に活動する目黒流貫井囃子保存会の活動に参加してフィールド調査およびインタビュー調査を実施し、音声・映像データやフィールドノートの記録・収集をおこなった。このフィールド調査の目的は、実践(練習)に参与する人びとの発話や身体的やり取り、演奏表現の変化やそれに対する評価など、活字資料からでは確認することが難しい情報を収集することであり、これによって実際の実践において練習過程がどのように進展しているかを分析・考察した。 最終年度は、これまでの文献調査によって収集した資料を整理・分析し、またフィールド調査によって得られた音声・映像データの編集およびトランスクリプトの作成と分析を進め、二つの調査から得られた結果を総合的に考察することをおこなった。しかしながら、新型ウィルス感染症の感染拡大により、発表を予定していた国際学会が中止されたため、本研究の成果の発表は今後の課題となる。
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