本研究は、特別支援学校若手教師の自立活動に係る専門性について、自主研修の資源を明らかにするとともに、自主研修に至るまでの過程とその背景要因を明らかにすることを目的とした。 当該年度においては、成長過程の初期プロセスに着目し、契機となる出来事や研修資源を視点として取り上げ、先行研究の整理に基づくロールモデルの理論的枠組みを検討し、事例的な分析を行った。教師が自身の成長に関わる行動を起こすまでの過程に注目すると、教育実践の試行錯誤の過程で自分の実践上の課題を①「契機」として自覚し、②「模索」し(どうしたらよいかの検討・行動を起こすまで)、③「行動」を起こすというプロセスがあると考えられる。また、それらのプロセスには、契機と行動の相互関係として「資源」が位置づき、行動に対する評価とその高度化をもって次なる成長につながっていくサイクルが想定できる。 上述の理論的枠組みに基づき、特別支援学校教師に対する半構造化インタビューにより、教師としての成長過程に関する語りと自主研修に至るまでの初期プロセスを検討した。契機として、多様な教育的ニーズのある子どもとの接し方や自立活動の指導における困難さが挙げられた。資源としては、初任者指導教員や同僚の先輩教員等の存在が大きく、実践上の課題意識とその課題解決に影響を与える環境との相互作用によって自主研修等の行動に至っているプロセスが示された。 成長過程における初期プロセスの理論的枠組みとそれに基づくインタビューデータは、これまでの先行研究の指摘を支持するものであるが、事例的な分析にとどまるため、今後は更なるデータの蓄積と詳細な分析が求められる。
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