研究課題/領域番号 |
19K23289
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
崔 善境 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 研究員 (70845619)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 職業教育 / 教育成果 / 低熟練労働者 / データベース / 実証分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、NEXT11諸国のうち東南アジア諸国における職業教育選択が、労働市場成果に与える影響について「東南アジアの段階的教育成果分析モデル」を用い、実証的に明らかにする研究である。この研究は2年にかけて行う予定である。以下では、初年目の研究実績及び今後の研究計画を時系列に沿って整理する。 9月:ハノ工科大学 ハ先生とベトナムの職業教育に関する研究打ち合わせを行い、ベトナムの職業教育事情を調査し、10年間のベトナムの世帯生活水準調査データを収集した。 10月:イギリスの UKFIET 学会とともにBAICEから開催した論文投稿に関する研究会に参加し、最近、途上国の職業教育開発の取り組みについて情報を集め、職業教育分野でもっとも有名な元UNESCO-UNEVOC所長、現香港大学、Rupert Maclean教授から職業教育の比較研究に関して助言をいただいた。 11月:インドネシア「International Conference on Lesson Study」に参加し、インドネシアの職業教育事情に関して調査し、インドネシア教育大学 Arif Hidayat先生からさらに中等教育段階の職業教育に関する研究助言をいただいた。また、1993年から2014年まで5回行ったインドネシア家計生活調査データを収集した。 12月から現在に至る、今後の予定:これまで行われたベトナムとインドネシアの職教育に関する文献研究を行い、データ整理最中である。その一部の研究結果を3月、アメリカの学会、 Comparative and International Education Society と6月、日本の比較教育学会で発表する予定であったが新型コロナウィルスの影響で学会はキャンセルになった。今年、学会発表見込みは大変難しくなっており、より正確な研究成果が出次第、海外学術雑誌の投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は経済成長に最も高い潜在性がある東南アジア諸国のうち、低熟練労働者の人材不足が深刻になっているベトナムとインドネシアの職業教育の労働市場成果に関する研究であるため、もっともデータサーベイ面で構成が比較できる両国のデータが必要であった。一般的に途上国には国家レベルで行われている大規模の国勢調査のようなデータは収集し始めた期間が短くなっており、そのサーベイ期間も定期的ではなく頻繁にサーベイ内容や構成を修正しながらデータ収集をしている。さらに国家レベルのデータだとしてもよく公開されなく、自国民ではなければ高い費用を払う必要があり、データが手元に届くまで非常に時間がかかる。しかし、本研究で収集されたベトナムの世帯生活水準調査データとインドネシア家計生活調査データはハノ工科大学 Truong Thu Ha先生とインドネシア教育大学 Arif Hidayat先生からの多大なる協力をいただき、予想外にデータ収集時間が短縮できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は東南アジアの段階的教育成果モデルを実証分析で明らかにするため、良質のデータ収集は不可欠である。それでこれまではデータ取集に集中してきた。しかし、データを開けてみたらデータ内容に関するコードブックや説明書などが正確に整っていない。その場合データセットが非常に難しくなるため、すでにこのデータを使った研究、研究機関やデータ収集機関からより詳しいデータ情報を収集する予定である。それと同時に文献研究も行う予定である。まず、ベトナム地域の研究に関しては今年の6月末までにはデータ整理の完成と、7月末までに文献研究を完成し論文執筆をスタートする。またその実績として9月中旬までベトナムの職業教育成果に関する内容を学術雑誌に論文提出を計画している。次に、インドネシアの地域の研究については11月末までにデータ整理と文献研究を完了し、1月末までにインドネシアの職業教育成果に関する内容を学術雑誌に論文提出を計画している。ことしは新型コロナウィルスの影響より学会発表は見込めないが可能であれば論文提出まえに小さな研究会を開いたり、本研究の関連する研究会などに参加したりするよていである。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月にアメリカの学会、Comparative and International Education Societyに参加する際、必要な航空券や宿泊費などの費用だったが新型コロナウィルスの影響で学会がキャンセルになった。次年度使用額と令和2年請求額を合わせ、今年度の研究費は研究時間を短縮することを目的として文献調査やデータ整理などに研究補助員を雇い、海外学会と現地インタビュー調査にかかる費用を使用する。また、海外学術雑誌に論文投稿の際、英文校正、オープンアクセスに関わる費用を使用する予定である。
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