研究課題/領域番号 |
19K23289
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
崔 善境 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 研究員 (70845619)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 職業教育 / 教育成果 / 低熟練労働者 / データベース / 実証分析 / インドネシア・ベトナム |
研究実績の概要 |
研究計画のうち1年目と2年目にかけて、一年度目に引き続き、NEXT11諸国における人材輩出効果分析の下になる質の高いデータ収集に集中してきた。その結果、インドネシアの家庭生活調査データ(Indonesia Family Life Survey 2015: IFLS)とベトナムの世帯生活水準調査データ(Household Living Standards Survey 2014: VHLSS)を入手することができた。データ入手後から1年目は、人材輩出効果分析をするまで、洗練されたデータ・クリーニングが求められるため、研究補助員を雇い、数か月にかけてデータ・クリーニングを含め、文献収集などを行った。まず、インドネシアデータにおける初期段階の分析から得られた結果が期待していた結果と少し差があったので、なぜインドネシアでこのことが起きているのかの把握のため、インドネシア人留学生のインタビューを通じて妥当性を確認した。インタビューや初期段階の分析結のまとめに基づいて、「インドネシアにおける男女間賃金格差に貢献可能な要因として中等職業教育が統計的に有意であることが明らかになった」成果を2020年12月、「国際開発学会第31回全国大会(オンライン開催)」で研究成果を発表した。そこから得られた、コメントを補い、次の研究成果は、研究課題「人的資本の生産性の視点から見た中等職業教育の労働市場成果について-インドネシア家計生活調査データによる実証分析-」とした研究論文を『国際教育協力論集』に掲載した。ベトナム研究においても、研究結果が出ており、論文作成をしており、5月末に国際査読誌に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、以下の記載に基づき、当初の計画以上に進展しているといえる。 まず、計画調書及び交付申請書に記載したインドネシアとベトナムにおけるデータ収集実施が進捗した。本研究では2か国の研究分析を順次敵に行い、それらの結果から2か国を比較することを予定しており、全てのデータが入手できたことは、様々な障害が起こりうる途上国の調査においては順調といえる。その研究分析結果は、国内外学会で発表する予定であったが、海外学会には新型コロナウイルスの影響によって渡航が叶わなく、研究年度を1年延長することになったが、文献的研究や国際労働機関から提供される国際パネルデータを用いた新たな労働市場分析方法講習などによる比較分析を先に実施することで調整を図った。研究分析を二回予定しており、2度目の研究分析が完了できたことも順調といえる。 また、1回目の研究成果を『国際教育協力論集』に掲載した経験から、2回目の研究成果を 他の査読誌に掲載する可能性が高くなった。2回目の研究論文は作成中であり、英語閲覧を終えたら、5月末に国際査読誌に投稿予定であり、当初の計画以上に進展することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響により、研究年度が1年延長しており、現在進行中である論文を 国際査読誌に提出し、本研究によるもう一つの論文実績を作る。この研究トピックや研究から得られた実績が高く評価され、この研究の延長線である研究は、「職業教育と認知的及び社会情動的スキルの関連性から導く労働市場成果」における若手研究計画調書が採択され、これに関わる研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月新型コロナウィルス感染症の影響により、海外学会、国内学会、研究会が中止及びオンライン会議になり、データ収集活動がすべて中止になったため、成果の取りまとめが困難であった。また、本研究の初期分析結果を発表する予定であった海外学会では、オンライン会議が行い、発表機会があったとしてもオンデマンド発表をする過程で、研究に関するコメントは得ていない。同省の想定に反し、オンデマンド発表より、研究成果の取りまとめが困難であったことが判明した。また、国内学会でも中止やオンライン会議になったため、オンライン接続の不具合を含め決まった時間で発表すること以外意見交換ができなかった。さらに、初期結果から明らかになっていないところを現地調査のデータ収集を通じて発展させる予定をしていたがすべて中止になった。そのため、研究遂行上、追加的データ収集を行い、その成果を研究会の意見交換すべきことが不可欠なため、データ収集などを延長して実施する必要が生じた
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