本研究は、NEXT11諸国における人材輩出効果分析に関わる国々における研究を行い、その比較をすることが目的であったが、コロナの影響で海外研究が難しくなっており、当初計画した研究期間を延ばさないといけなかった。現地調査などが不可能であるにもかかわらず、現存するデータ収集に集中し、職業教育と人材輩出の関係について考察することに集中してきた。この研究では、途上国における教育と労働市場における教育のアウトカムを信頼されるデータを使って定量的な手法を用いて相関関係はもちろん因果関係を示すことから、既存研究と違う視点で考察することができた。その一環として本研究と深く関連性があるフィリピンの分析結果が整えられて国際ジャーナルに投稿することができた。この結果、フィリピンでは教育水準が高くない階級については普通教育よりは職業教育が雇用や賃金に貢献できることが分かった。また、その結果は都市部や農村部によって異なっていた。農村部の方が職業教育を通じた労働市場での効果が都市部の方より高くなっていた。途上国における貧困層の貧困削減に貢献できる職業教育を考察することができた。これらの分析結果については、学会における研究成果発表を実施しており、発表時に得られたコメントなどをもとに国際ジャーナルに論文投稿ができた。最終年度である2021年度は、それに基づいてインドネシアの場合も同じ手法で分析を行っており、2022年度末までに海外ジャーナルに論文投稿ができるよう研究を進めている。
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