今日国語科は、学校教育の中心的教科である。その国語科に関しては、第二次世界大戦の敗戦とその後の占領期を経て、軍国主義・超国家主義的性格を克服し、民主主義・平和主義的なものへと転成したというのが通俗的理解である。しかし、戦後初期に国語科教育改革を主導した国語教育者・石森延男は、戦前・戦中の国語科教育政策に深くかかわった人物でもあった。 本研究の成果は、戦後初期に石森が作成した資料類を発掘したことである。これらの資料は、国語科教育の戦前と戦後の双方を準備した彼の思想的・理論的位置を示す貴重なものである。また、その分析によって、国語科教育の普遍的意義や本質的課題の一端が明らかになるものと思われる。
|