研究課題/領域番号 |
19K23310
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山口 泰史 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (10846124)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 高校生の進路選択 / パネルデータ分析 / インタビュー調査 |
研究実績の概要 |
2021年度は、質問紙調査の二次分析、インタビュー調査の実施・分析という二つの方向から研究を遂行した。 質問紙調査の二次分析については、2020年度までの進展を受けて、「子どもの生活と学びに関する調査」(ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所)を中心的に用いて、高校生の進路選択過程に着目し、それをより詳細にみることで、先行研究で十分には鑑みられてこなかった、高校生の進路選択プロセスへの社会階層、高校の学校タイプの影響を検討した。また、その際には性別による進路選択プロセスの違い、社会階層や学校タイプの影響メカニズムの違いについても検討をおこなった。その成果の一部は論文、また報告書の一章として刊行した。 インタビュー調査については、7月から8月にかけて、複数の県の県立高校の教員数名に対して実施した。新型コロナウイルス感染症の感染者数の高止まりを受けて、一部は学校を訪問しての対面実施が可能であった一方で、一部については、オンライン通話によっての実施となった。そのような制約下のため、当初想定していた対象者数を満たす対象にインタビューを実施できたとは言えないものの、上記の対象者に対しては、高校での進路指導の様子、生徒の進路形成のプロセス、などについて、60-90分程度やりとりをおこない、回答していただくことが可能な範囲で回答を得た。このインタビュー内容については、文字起こしを完了しており、内容の整理を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
定量的な研究については、「子どもの生活と学びに関する調査」(ベネッセ教育総合研究所・東京大学社会科学研究所)を中心的に用いた上で分析等を進めており、論文等の形式で研究成果の刊行をおこなった。 一方で、新型コロナウイルス感染症にともなう(とくに海外への)移動制限と、学校現場のいっそうの多忙化によって、研究成果の国際的な発表、意見交換やインタビュー実施が大きく制約された。具体的には、国際学会への参加がオンライン実施のもの1件にとどまり、他国の研究者との交流が対面の場合と比べてやや得られにくく、他国との対比や国際的な一般化という観点から見て、本研究をどう位置づけうるのかについては、社会情勢をみながら助言を得る機会を増やしていく必要がある。また、インタビュー実施についても、新型コロナウイルス感染症への懸念から、学校を直接訪問しにくいことに加えて、学校がコロナ対応もあってこれまで以上に多忙であるために、調査への協力を得づらい状況があった。そのため、当初計画していたほどのインタビュイー数までは得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、海外の研究者からの助言を得にくかったことによる、研究の国際性担保の課題、また、インタビュー対象者の確保における課題の2点が、2021年度までの本研究における不足点だといえる。そこで、2022年度は、日本在住の国際的な研究者から助言を得ることや知己の研究者とのオンラインでのやりとりを通じて上記の1点目の改善を図る。また、学校現場も新型コロナウイルス感染症そのものの影響はやや弱まりを見せているため、こちらも知己を通じてインタビューに協力してくださる高校教員を引き続き募集してゆく。 これらに加えて、2021年度までに一定の進展を見せている質問紙調査の二次分析については、インタビュー調査で得られた知見も参照しながらいっそうの進展を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、海外学会大会への参加旅費、およびインタビュー謝金・文字起こし費用として計上していた費用が失効できなかったことが理由である。2022年度に追加インタビューの実行に向けて調整中であるとともに、オンライン等での他の研究者への相談に際しての謝金等に使用することで繰越金を執行する予定である。
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