本研究の目的は、実践文脈で転用可能な地理的な見方・考え方を働かせた世界地誌学習の具体的なカリキュラムについて、地理学、地理教育学、カリキュラム論の統合的な枠組みから、現場教師の認識を踏まえて、モデル単元を開発し、検証することである。 本研究ではこれまで、見方・考え方を働かせる単元カリキュラムの開発に関する参考点として、①開発枠組みとして地理的な見方・考え方の構造的理解と本質的な問いへの変換、②本質的な問いと学習活動への翻案によるカリキュラムへの構造的な実装の二点が得られた。今年度は、これらの参考点を学校におけるコンサルテーションにおいて活用するとともに、単元を越えた汎用性のある資質・能力の育成への援用について検討した。 具体的には、コンサルテーションにおいては、単元カリキュラム開発時に「世界の諸地域」における単元モデル例を提示し、単元や本時における本質的な問いの学習活動への実装について解説のうえ協働的に検討するとともに、授業実践参観後には参考点の視点から省察を促した。汎用性のある資質・能力の育成については、地理的な見方・考え方と地理的な思考力との関連性に着目し、他の単元におけるカリキュラム開発と授業実践に応用した。 これらにより、カリキュラム開発前後における参考点活用の有効性や単元を越えた資質・能力の育成に関する知見を得ることができた。今後もコンサルテーションや教師による省察の視点として援用し、授業実践の伴走者として支援を継続する。
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