研究課題/領域番号 |
19K23325
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研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
神山 真一 大阪体育大学, 教育学部, 講師 (40846531)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | アーギュメント / 小学校理科授業 / 指導能力育成プログラム / 教員志望の大学生 / 信念に影響を与える要因 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,教員志望の大学生対象にアーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムの実施と評価(第2期・第3期)を行った。 第2期では,第1期の研究をすすめ,教員志望の大学生を対象としたアーギュメントの指導能力育成プログラムを開発し,64名の大学生を対象にプログラムを実施した。具体的には,第1期で得た現職教師教育の知見を生かし,アーギュメントの意義や構造を理解する活動,児童のアーギュメントを評価する活動, 児童生徒が構成するアーギュメントの題材を使って教師自身にアーギュメントを構成させる 活動,実践に即してアーギュメントの具体的な指導を理解する活動,授業実施者が自らアー ギュメントの指導法を具体的に立案したり実践したりする活動を指導能力育成プログラムとして位置づけ,それぞれの活動からプログラムの有効性を検証した。 第3期では,各実践研究における分析を総括して,総合考察に取り組んだ。特に,アーギュメントを理科授業に導入することに対する大学生の信念に着目して本研究で開発したプログラムの何が信念に影響緒及ぼしたのかを評価した。その結果,1)アーギュメントが科学的な論理構造をもつことへの自覚,2)アーギュメントに取り組む際の学習者の能力や経験,意欲の状態,3)実際に授業を構想するという経験が影響していることが明らかになった。それぞれの段階で得られた研究成果については,日本理科教育学会『理科教育学研究』第61巻の第1号,及び,第2号に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムの開発について,次の2点からおおむね順調であると判断した。 第1に,本研究に関わる研究知見の収集の観点からは,国内外の理科・科学教育関連の先行研究からレビュー論文を作成し,本研究で開発したプログラムの評価観点である信念についてその評価方法を確立できたことである。その調査内容は『理科教育学研究』第61巻,第2号に掲載されている。 第2に,アーギュメント指導に必要な要件を整備して,プログラム内の各Activityを決定し教員志望大学生に導入,実施,評価ができた。評価の観点は信念であり,プログラムが教員志望の大学生のアーギュメントを理科授業に導入することに対する信念にどのような影響を与えたのかを検討できた。研究成果は,『理科教育学研究』第61巻,第1号に掲載されている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,本研究の開発総括段階として,プログラム開発の更なる知見を得るべく,小学校の児童対象にアーギュメント構成能力を調査する研究を行う。具体的には,児童が自身のアーギュメント構成能力をどのように自覚しているかを調査し,その成果をアーギュメントを小学校理科教育に導入するための指導能力育成プログラムに生かす。調査と報告書の作成は令和2年度に行ったが,令和3年度は,論文化した内容の公表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け,小学校児童を対象とした研究活動が予定通り実施できず,論文執筆が遅れ,『理科教育学研究』(採録済み)への超過ページ代の支払いが令和2年度内にできていない。超過ページ代金は確定していないが,残額139,489円を繰り越したため,次年度使用分が生じた。
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