本研究ではベルギーの政治学者シャンタル・ムフの政治思想を全体的に把握し、その教育学における射程を検討した。そこで、ポスト・マルクス主義における主要概念―「言説(discurse)」、「節合(articulation)」や「ヘゲモニー(hegemony)」―といった概念に焦点を当てた。ポスト・マルクス主義からはあらゆる社会関係が言説によって構築されたものに過ぎないという立場が導かれる。本研究は以下の2点を明らかにした。(1)教育言説の構造を紐解くとともに、新たな言説の創出に貢献すること、(2)イデオロギー批判の方法論を示唆すること。
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