研究課題/領域番号 |
19K23340
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 未空 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (40848610)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 中等教育 / 高等教育 / 進学 / ケニア / アフリカ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高等教育機会の多様化が、教育格差の是正あるいは助長にもたらす影響を検討することである。本研究は、以下3点の問いを設定している。 第一に、経済的問題を抱えている中等教育修了者は、いかにして高等教育へアクセスしているのか。第二に、高等教育における教育機会の多様化は、中等教育修了者の進学ニーズに応えているのか。第三に、中等教育修了者の増加と高等教育機会の多様化は、困難な状況にある人びとを取り巻く教育格差の解消に寄与しているのか。 2020年度は、本格的な現地調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により断念し、オンラインにより調査対象者の近況を把握した。2019年度の現地調査で得られたデータの分析を各種学会での発表をとおして進めた。 調査の結果、修了生らは共通して、自ら進学費用を工面していることが明らかとなった。その際、中等学校時代の友人との関係や、きょうだいの学力などが彼らの進学を妨げる、あるいは促す要因として働いていることが明らかとなった。また、中等教育修了時の学力が高ければ、政府の奨学金を得ることができる一方で、進学する高等教育機関を自ら選べないことに伴うリスク(私立校であれば学費が高い、実家から遠方であれば交通費が高い、農村部であれば収入の機会が少ない、)も不本意にも負わざるを得ないという状況がみられた。 今年度は、現地調査の機会をうかがいつつも、困難である場合、現在すでに得られたデータにより論文の執筆・投稿を行なう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の2~3月、および、2020年度の8~9月、2~3月と、現地調査を計画していたものの、新型コロナウイルス感染拡大により断念せざるを得なかった。また、休業に伴い研究活動を一時中断する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度については、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大が進むことが想定され、夏季の現地調査は困難であると考えている。年度末に実施できる状況であれば実施するものの、現段階では既存のデータによる論文執筆を考えている。また、オンライン調査に切り替える、あるいは日本国内にいるケニア人留学生など、現地へ行かずに調査データを得られるよう工夫する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定した現地調査を実施することができず、また、国内外での学会発表がオンラインになったため、旅費の使用が無かったため。新型コロナウイルスの感染拡大状況に鑑みて、今年度現地調査および学会発表で使用するとともに、文献購入費用、英文校正費用などに使用予定である。
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