基礎教育が急速に普及するケニアでは、高等教育の質とアクセスの保障という課題に直面している。本研究では、農村部の通学制中等学校の卒業生に焦点を当てることで、中等教育へアクセスできるようになった人びとが、中等教育修了後にいかに高等教育へアクセスしているかを明らかにした。その結果、脆弱な環境にある学生は成績が高ければ奨学金を得られるものの、必ずしも質の高い大学へ進学できるわけではなく、その反面、経済的制約の少ない学生は、成績が奨学生に及ばずとも私費で有名大学へ進学できていた。高等教育への進学を求める学生にとって不公正な状況が生み出され、教育が普及してもなお格差が生成されている様相が明らかとなった。
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