本研究は、感化院が独自に目指した処遇の実現にあたり地域と連携した過程を明らかにした。石川県育成院では学科が困難な子どもにも可能な筆工を教示し、彼らの職業的自立を目指した。その実現にあたり筆の受注や教師を地域から得たほか、後に後援機関を活用し職業教育を実施した。後援機関は、少年教護法の時期にその定めに留まらない保護の実現にも活用された。感化院または少年教護院では不良行為だけでなく「精神薄弱」児への特別な教育を実施したことが先行研究から明らかになっているが、その実現にあたり予算で得られない経費や人材を地域社会から確保するなど、地域との連携を本研究では示している。
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