研究課題/領域番号 |
19K23344
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研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
下瀬川 陽 流通経済大学, 学部以外の部局, 教育学習支援センター所員 (90846510)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 大学中退 / 学習支援 |
研究実績の概要 |
本年度は主に、先行研究・既存データの収集・整理を行った。国内大学における中退防止を主たる目的とした実践報告を中心に、大学適応や学習支援等種々の取り組みについての実践報告や学術論文を収集した。また、それら大学の中退率や教員-学生比率といった、構造的特徴を把握するべく、既存データ(大学受験関連書籍)を整理した。以上を踏まえ、調査対象校の候補をいくつか選出したが、当初の計画にあった聞き取り調査には至らなかった。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行にともない、研究計画の変更が必要となった。 なお、これら収集した先行研究および整理したデータを用いて計量的な分析(メタ分析)を試みており、中退率を左右する要因にせまることができないか検討している。 上述の先行研究の収集・既存データの整備に基づき、研究枠組みの大きな変更は不要と考える。次年度は、計画通り調査を行い、その分析結果を公開する。調査のうち学生同士の結びつきの構造を把握するホールネットワーク調査だけは、後期へ延期することとし、学生への調査では、出身背景に関する情報や、コロナ渦中における学習・生活状況、大学への適応感や帰属感、中退意思、現在の協働関係等について把握するための項目を想定している。大学職員への調査では、学生支援にかかわる取り組みやそれを支えるアクターについて、負担度・達成度などをたずねることを想定している。時期・調査のモード等の詳細については、別項に記載する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度中に学生・大学職員を対象とした聞き取り調査を行う予定であったが、諸般の事情によりそれがかなわなかった。一方で、先行研究の収集・整理の状況や、調査対象とする大学の検討、収集した調査データを適切に運用するための環境整備等は滞りなく進んでいることから、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症対策として、多くの大学が入校制限の措置をとっていることもあり、データ収集に関する計画を修正する必要がある。当初の研究計画においては、ホールネットワーク調査を数回行うことにより、学生同士の結びつきが形成・発展する過程を把握し、その構造を分析モデルに入れることを予定していたが、ホールネットワークの把握は10月以降に実施可能であれば行うこととする。7月頃の実査を目処に、郵送・オンラインの併用によって、大学職員・学生への調査を行うことを検討する。学生への調査では、出身背景に関する情報や、コロナ渦中における学習・生活状況、大学への適応感や帰属感、中退意思、現在の協働関係等について把握するための項目を想定している。大学職員への調査では、学生支援にかかわる取り組みやそれを支えるアクターについて、負担度・達成度などをたずねることを想定している。なお、学生への調査は、インターネットモニター調査の活用も視野に入れる。さらに並行して、既存データの二次分析により、課題にアプローチすることができないかを検討する。 調査実施計画の変更や、海外での学会が延期・中止となったことを踏まえ、海外学会での報告は見送り、研究成果は投稿論文・紀要論文を中心に発表する。
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