本研究の目的は、植民地政府の敷いた教育政策を単純に分析するのではなく、その運用に携わった担当行政官に着目することで、仏領西アフリカにおける植民地教育の理念と実践を再考することである。同地域の限られた教育研究においては、植民地の教育政策が本国の一貫した指示のもとで実施されていたかのような論調が認められる。その結果見落とされてきたのは、実際の仏領西アフリカの教育政策の大部分が赴任した担当官の裁量に委ねられ、策定、運用されてきた現実である。本研究の意義は、教育担当官という「人物」を研究の中心に据え、仏領西アフリカの植民地教育を捉えなおした点にある。
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