研究課題/領域番号 |
19K23357
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研究機関 | 長崎外国語大学 |
研究代表者 |
金子 奈央 長崎外国語大学, 外国語学部, 特別任用講師 (60761088)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 移民 / 難民 / 公教育 / ノンフォーマル教育 / 社会的包摂 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、移民・難民を包摂した国家制度の再編と新しい「寛容」な社会モデルを教育から明らかにすることである。本研究では多民族社会マレーシア、特に移民・難民を包摂するかたちで長年社会づくりがなされてきたサバ州をモデルケースとして取り上げる。ムスリムの移民を受け入れながら、その時代時代に置かれている状況を踏まえ常に社会を(再)構築し続けてきたという点では、マレーシア特にサバ州は世界における先進的な地域である。その先進性に着目し、社会のつくりかたのメカニズムを解明することは、今後ますます複雑化する現地社会と移民・難民の関係に大きな示唆を与えうる創造的な研究となると考える。 本研究の第1の課題として、サバ社会における移民・難民の包摂と排除の歴史的変遷を明らかにすることを設定する。第2の課題としては、サバ州の公教育制度における移民および難民の受け入れ方針について、その歴史的な展開を明らかにする。第3の課題としては、移民および難民コミュニティが主体的にアクセスしているノンフォーマル教育の実態について明らかにすることで、国家および州と移民・難民社会との関係を明らかにする。 これらの研究課題を踏まえて、初年度は課題2(歴史的な展開)に対する調査として、サバ州および英国ロンドンにおいて資料収集のための現地調査を行なった。3の課題(移民および難民コミュニティがアクセスしているノンフォーマル教育の実態)に関する調査として、サバ州で現地調査を行い、移民・難民を対象にした教育プログラムへの参与観察と、関係機関への聞き取り調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に課題における初年度(2019年度)は、資料収集、聞き取り、参与観察などの現地調査については、おおむね計画通りに進めることができた。現地調査にあてられる日数の関係でシンガポールで予定していた資料収集のための調査のみ実施することができなかった。現地調査以外に、文献研究などについても進めた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2020年は、前年度に現地調査で得た資料や、聞き取りおよび参与観察で得たデータの整理、分析を進めていく予定である。当初の予定では、2020年度も継続して現地調査を実施する予定になっていたが、コロナウイルス問題で調査地へ渡航するのがしばらくできないため、現地調査に関する計画については状況をみながら修正、対応していくことになる。現地調査ができない期間については、前年度のデータや資料の分析、まとめを行い、研究会等で発表することや、論文としてまとめることを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた資料が年度末までに入手することができなかったため。 2020年度に、改めて購入手続きを取る予定である。
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