研究課題/領域番号 |
19K23363
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 司 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (70845594)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 予測 / 多感覚 / 視覚体性感覚処理 / 事象関連脳電位 / 脳波 / 周波数スペクトラ / 試行間位相同期 |
研究実績の概要 |
本年度は,Kimura & Katayama(2015)の実験パラダイムを改良し,身体へ接近する視覚情報による体性感覚事象の予測の形成過程を検討する実験を行った.実験では,触覚刺激を左(または右)人差し指に高確率(80%)で呈示し,反対の人差し指に低確率(20%)で呈示した。接近条件では,高確率触覚刺激が呈示された手に向かって視覚刺激を呈示し,統制条件では視覚刺激は接近しなかった.触覚刺激を呈示する直前のEEG(脳波)に対しウェーブレット変換による時間周波数分析を行った.実験の結果,第一次体性感覚野近傍の電極(C3,C4)では,触覚刺激の呈示前約300 msからβ帯域の周波数スペクトラパワー値が抑制された.この抑制はイベント関連脱同期(ERD)と呼ばれ,触覚刺激呈示前のβ帯域のERDは次に呈示される触覚刺激が予測可能な際に生じる.この結果は,両条件で次に生じる触覚刺激の予測が可能であったことを示している.さらに,統制条件に比べ接近条件ではこの抑制が大きかった.この結果は,視覚刺激の接近がその後の触覚事象の予測自体を容易にすることを示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,計画していた実験,データの解析を行った.新型コロナウイルスの影響で実験開始が遅れたため,実験結果の学会発表,論文投稿ができておらず計画に若干の遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
データの解析結果をまとめ,学会発表,論文投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で実験開始が遅れ,2020年度に予定していた学会発表,論文投稿ができなかったため,次年度使用額が生じた.2021年度は得られた実験結果について,学会発表,論文投稿を行い,英文校閲費,論文掲載費など成果発表のために研究費を使用する予定である.
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