研究課題/領域番号 |
19K23366
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
瀧井 美緒 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (50846318)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | トラウマ / PTSD / しろうと理論 / 心理教育 / 対処行動 / 予防 / トラウマインフォームドアプローチ / 認識や信念 |
研究実績の概要 |
本研究は、一般の人々が持つトラウマに関するしろうと理論を明らかにし、一般の人々と支援者におけるトラウマへの対処の有効性についての信念・認識の比較を行い、予防的心理教育開発に向けた要因の解明を目的とした研究である。 本研究によって、トラウマ体験後の症状や疾患の“緩和”や“予防”という観点のもと、適切な支援につなぐために、一般の人々が持つ素朴な概念(しろうと理論)を検討することにより、予防的心理教育の要因を明らかにすることにつながると考えられる。 今年度は、昨年度実施することができた「一般の人々」として大学生への調査内容について、質的データに関するテキストマイニングを行い、学会発表などを行った。 特に、トラウマインフォームドアプローチの視点の重要性に関するシンポジウムにおいて、これまでの研究結果を基にした発表を行い、臨床現場には多くのトラウマケースが存在していること、一般の人々はトラウマに関して漠然としたイメージと破局的なイメージしか持っていないため、トラウマに関連した対処が可能であるという認識には至っていないことを報告した。そのため、支援者側が一般の人々がどのような認識を持っているかを知り,支援者がトラウマケースに気づきをもつことが重要であることを報告した。 このほか、今後の心理教育実践に向けた外傷後ストレスに関する認識について測定する尺度に関する論文を執筆した。 今後は、新型コロナウイルスの影響を鑑みながら、オンラインなども含めた実施方法を検討し、小中学校の教員や行政機関の専門職等を対象にした調査を進め,一般の人々と支援者における信念や認識の比較およびしろうと理論の検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は今後の実践に向けて必要となる尺度の論文執筆などを行うことができたが、支援者に対する調査については新型コロナウイルスの影響により、予定していた調査が延期となっているため,遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、支援者を対象とした調査を進め、トラウマに関する認識の傾向の分析、質的データ に関するテキストマイニングによって、信念や認識の構成概念の検証を行う必要がある。 また、新型コロナウイルスによる対応の変化など支援職にとって通常業務においてもこれまでの業務よりも負担が大きい状況と思われるため、現場の状況を鑑みながら調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,調査が遅れているため次年度使用額が生じている。 次年度においては,遅れている調査実施に係る費用および研究成果公表に係る費用を主とし,使用を計画している。
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