研究課題/領域番号 |
19K23368
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
田中 佑樹 和洋女子大学, 人文学部, 助手 (40846771)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | ギャンブル障害 / 認知行動療法 / 維持メカニズムの差異 |
研究実績の概要 |
ギャンブル障害に対する心理的支援として、認知行動療法がギャンブル行動の低減に対して一定の効果を有することが示されている。しかしながら、ギャンブル障害には問題行動の維持メカニズムの異なる状態像が混在することが示されているものの、それぞれの状態像の特徴に応じた支援技法として十分に体系化されているとは言いがたい現状にある。以上のことを踏まえて、本研究は、ギャンブル障害に対する心理的支援の精緻化を目指す一環として、問題行動の維持メカニズムに基づく状態像の差異に応じて、認知行動療法プログラムの体系化を行うことを目的としている。令和元年度は、ギャンブル障害を呈する者は問題行動が主に正の強化の随伴性によって維持される状態像(正の強化優位群)と、さらに負の強化の随伴性も加わって維持される状態像(正負両方優位群)に大別されることがこれまでの研究によって明らかにされつつあることを踏まえて、これらの状態像の差異を規定しうる個人差要因のうち、これまでに実践されてきた従来型の集団認知行動療法プログラムの適用によって改善されにくい要因の検討を行った(研究1)。医療機関に通院してギャンブル障害の診断を受けており、本人および主治医から研究参加への同意が得られた9名を対象として、集団認知行動療法の適用前後においてデータ測定を行った。データ分析の結果、正負両方優位群を特徴づける個人差要因の1つである「体験の回避」がとくに改善されにくい可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、ギャンブル障害における状態像の差異に応じた心理的支援を行う際にターゲットとして重要となる個人差要因の検討を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、令和元年度に得られた結果を踏まえた追加の調査研究と、状態像の差異に応じた集団認知行動療法プログラムの効果の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた学会参加のための出張やリサーチ会社を利用した調査を新型コロナウイルス感染症の流行に伴い延期せざるを得なかったため、令和元年度の配分額の一部に次年度使用額が生じた。当該感染症の流行の収束状況に鑑みて、社会的に適切な時期に、当初の計画に即した用途に使用する予定である。
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