本研究では、自動車の運転という視覚的に自己中心性バイアスに陥りやすい環境が運転者の被害的認知を強める結果、怒り感情が生起するというモデルを立てた。交通場面における運転者の過失判断を測定する課題を作成し、オンラインアンケートを通じて「視点」および「行為主体性の知覚」の要因とパーソナリティが状況の認知に及ぼす影響について検討した結果、特に危険度が高いと考えられる交通場面において一人称視点と他者の行為主体性(意図の明確性)の高さがそれぞれ他者への責任帰属を促すこと,パーソナリティとしてのダークテトラッドは他者に対する怒り・敵意等の感情と「煽られた」という状況の認知に結びついていることを明らかにした。
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