研究課題/領域番号 |
19K23373
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研究機関 | 大阪総合保育大学 |
研究代表者 |
金重 利典 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 講師 (10847619)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 乳児 / 表情理解 |
研究実績の概要 |
日本国内において、乳児期の子どもを対象に感情・表情についての研究を行っている研究機関は数えるほどしかない。そのため、日本で唯一乳児を対象とした保育について教育を行う学科が新設された所属大学において、乳児の研究を行うための拠点とするべく研究体制を整えた。具体的には、実験研究を行う上で必要な設備の準備、実験の実施・記録を行うための機材・システムの構築、協力児のリクルート体制を整えた。また研究課題を行うための刺激の作成を進め、データ収集を行うのみの段階となった。 研究課題の対象である、乳児の表情の個人間機能を理解する能力は、近年国際的な関心が集まっている子どもの非認知的能力に含まれるものである。特に非認知的能力を育てるためには、子どもの年齢の低い発達初期からの介入が重要視されている。そのような中で、非認知的能力の中でも他者との協働に関わるものと考えられる表情理解能力について乳児期の研究を進めることは、国際的な評価につながるものと考えられる。現段階では、準備に時間がかかった上、新型コロナの影響によりデータ収集が行えない状態であるが、新型コロナの状況を見ながらデータ収集を速やかに行う予定である。 また今後の新型コロナの再燃に備え、乳児を対象とした研究と比較できるような成人を対象とした質問紙実験についての研究を計画している。表情の個人間機能を理解する能力は、乳児のみならず成人においても知見の蓄積がほとんどない。質問紙を用いればリモートでもデータ収集が可能であるため、乳児と比較可能な成人のデータも収集し研究を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験室の確保を学内で調整していたが、2019年内では他の教員との調整が難しく、年明けまで実験室の確保がずれ込んだため準備が遅れたことが理由として挙げられる。また、年明けから2月下旬の実験開始を目指し準備を進めたが、実感開始を予定した時期に、大阪にある所属大学の近隣で新型コロナ感染者が表れた。そのため、学外者の大学内への入構が禁止され、研究協力児を呼びデータ収集を行うことが不可能となった。学外者の大学内への入構は現在も禁止されており、遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
・乳児の研究再開に向けた準備 本学は2020年9月から通常授業を行うことを想定しているため、学外者の大学内の入構制限についても解除される見通しである。そのため、入構制限が解除され次第データ収集に速やかに移るために、2020年7~8月の間に協力児の再リクルートを進める。協力児のリクルートは一度行ったが、データ収集ができなかった期間に対象とする月齢が過ぎてしまった。本学と実習やインターンシップで提携している保育園・幼稚園・子ども園に協力を依頼し、協力児のリクルートを進める予定である。
・成人(大学生)を対象とした研究計画 大阪ではコロナ感染者について、第二派の兆候が見られるために、乳児のデータ収集は再び難しくなることが予測される。また第二派がないとしても、養育者が協力児の参加を躊躇し、データ収集が困難になることも考えられる。そのため、乳児を対象とした研究だけでなく、成人を対象とした研究についても進めることを予定している。表情の個人間機能についての成人の研究は、理論的なものは存在するものの実証的なデータとして明らかになっていることは少ない。乳児で得られるであろう研究知見との比較を行うために、表情の個人間機能を理解しているかを調べるための成人を対象とした実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属大学近隣での新型コロナ感染者の増加により、学外者の大学内への入構が禁止され、データ収集が困難となった。そのため、参加児への謝金や実験補助者の雇用費の支出がない状態となった。今後の新型コロナの蔓延状況によるが、成人を対象とした研究用を行う上で必要な写真刺激の購入費や、データ入力の依頼を行う費用として使用する計画である。
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