信頼行動の心理メカニズムの解明：脳神経ネットワークを用いた検討

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K23386
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 仁科 国之 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (70843233)
• 研究期間 (年度): 2019-08-30 – 2023-03-31
• キーワード: 信頼 / 信頼行動 / 一般的信頼

研究実績の概要

本研究は、感情と報酬のどちらか、もしくは両方が島皮質と相互作用することによって信頼行動を抑制しているかどうかを明らかにすることを目的とする。本年度は、MRIの実験用プログラムの作成、裏切り嫌悪課題の質問紙の作成など実験を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響によりＭＲＩを用いた実験を行うことができず、実験データの取得ができなかった。今年度はオンライン実験において、信頼行動に影響を与える心理要因についての検討を行った。これまで、信頼行動には心理要因として、一般的信頼、利他性、互恵性、リスク選好が影響を与えるとされてきた。本研究では、この中の互恵性に注目して検討した。互恵性には、自分が誰かに良いことをしたら、後にその人からお返しをしてもらえるという直接互恵と、自分が誰かに良いことをしたら、巡り巡っていつか他の誰かからお返しをしてもらえるという間接互恵の2種類がある。この2種類を弁別して測定する質問紙はこれまでになかったため、本研究ではこの2種類を弁別可能な質問紙の作成を行った。複数回の実験による因子分析、信頼行動との関連を検討した結果、見知らぬ他者との信頼ゲームにおける信頼行動には直接互恵ではなく、間接互恵が関連することを明らかにした。しかし、今回作成した質問紙が他の互恵性を測定する質問紙とどの程度相関するのか、なぜ間接互恵のみが影響を与えるかは不明なため、来年度は他の質問紙との相関、相手を操作した信頼ゲームで影響が異なるのかどうかを検討する。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

予定していたMRIの実験が出来なかったため。遅れていると判断。再度1年延長の申請を行った。

今後の研究の推進方策

MRIの実験、および信頼行動に与える心理要因の検討を引き続き行っていく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響により、予定していた実験を行えなかったため一年の延長を行った。