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2019 年度 実施状況報告書

個体間相互作用から創発されるリズムとその親和効果 ―動物モデルによる検討―

研究課題

研究課題/領域番号 19K23391
研究機関愛知大学

研究代表者

岸本 励季  愛知大学, 文学部, 研究助教 (30847017)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワードセキセイインコ / 個体間相互作用 / オペラント条件付け / 運動制御
研究実績の概要

本研究は、他個体の行動模倣やリズム同調を特徴とするセキセイインコを対象に、相手の個体の運動を読み合うことで一定の時系列パターンを持つ交互運動が出現するかを検討している。
本年度は、3羽のセキセイインコに、点灯しているランプをつついたのち一定間隔後、再度点灯するランプを連続してつつくように訓練した(ソロ条件)。ランプ点灯後に反応時間枠は設けず、つつきタイミングはトリ依存とした。この訓練を行った後に、2羽の姿が互いに見えるように対面させ、同様の手続きで、交互に点灯するランプをつつくように求めた(協調条件)。
3羽のトリ、3ペアでテストしたところ、特定のペアにおいては、ソロ条件よりも協調条件のほうが、つつき間間隔が短くなり、またつつき間間隔に高い規則性がみられた。個体内つつき間間隔は協調条件のほうが長いため、ランプ点灯に素早く反応できた可能性がある。この違いに関しての慎重な確認は必要であるが、他個体の運動を先読みしたつつき反応と他個体の運動を手がかりとしたリズム創発の可能性が示唆された。さらに、同一個体でもペア個体によって、つつき間間隔のパターンが異なり、間隔の規則性が低い個体とペアになった場合には、つつき間間隔が低くなる傾向がみられた。このことから、ペア個体依存で反応パターンが変わることが示唆された。
協調行動を考えるうえで重要な知見となりうる協力行動について、比較・発達の観点から論じた論文の誌上発表を行った(Kishimoto et al., 2018; 岸本,審査中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2つの装置を個別に制御する実験装置の作成、ソロ条件での訓練が当初の予定よりも時間を要したため、ペア個体と社会的親密性と課題成績の関係性の検討を本年度中に到達することはできなかった。こうした点から、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

引き続きセキセイインコにおける協調行動についての検討を進める。①交互運動時の手がかりとしてランプの点灯と他個体のつつきのどちらが優位に用いられているかを検討する。②昨年度の得た結果より、同一個体でもペアが変わると反応パターンが変わることが確認された。この違いを生み出す要因を検討すべく、同空間で過ごさせた場合の接近行動記録等のペア内個体間の関係性を検討する実験の実施を行う。③課題遂行中に特定の発声パターンがみられることが実験中の観察を通して明らかになった。音声コミュニケーションの研究を参考にし、それらが協調行動に果たす役割についての検討も行う。

次年度使用額が生じた理由

装置作成、トレーニングが当初の予定より時間を要したため、実験データ補助者の雇用は次年度行うよう予定を変更した。また、次年度中に確実に成果を出せるよう、当初の予定よりも実験補助者の雇用時間を延長し、実験機会を増やす。参加予定であった学会・研究会の中止・延期となったため、次年度は学会参加機会を増やし、積極的に外部へと成果を発表したいと考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of “calculating” helpers based on third-party observation in adults and children.2020

    • 著者名/発表者名
      Kishimoto, R., Irakura, S., Fujita, K., & Hashiya, K.
    • 雑誌名

      Psychologia

      巻: - ページ: -

    • DOI

      https://doi.org/10.2117/psysoc.2019-A008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] フサオマキザルにおける自身の忘却を見据えた情報希求2019

    • 著者名/発表者名
      岸本励季・岩崎純衣・藤田和生
    • 学会等名
      日本人間行動進化学会第12回大会

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公開日: 2021-01-27  

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