研究課題/領域番号 |
19K23393
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
竹谷 怜子 関西学院大学, 文学部, 助手 (10846900)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | カウンセリング / 抑うつ状態 / 注意欠如・多動症 / 若年成人層 |
研究実績の概要 |
日本の若年成人層における抑うつ状態は高いと報告されている。また、近年、注意欠如・多動症(ADHD)傾向などの発達障害圏の大学生が抑うつ状態などを訴えて学生相談に来ることが増加している。ADHD傾向があると、その特性のために対人関係の困難をきたしやすく、2次的に抑うつ状態を呈しやすい。そこで、ADHD傾向のある若年成人層の抑うつ状態に対するカウンセリング方法の有効性についての実証的研究が望まれる。 対人関係カウンセリング(IPC)は対人関係療法から派生したカウンセリング方法であり、具体的なストレスコーピングを習得させる要素をもち、うつ病の診断に至らない抑うつ状態に対する効果が科学的に検討されている。IPCは構造化(原則、3回、1回50分)されたカウンセリング方法であり、非専門家でも習得が容易であることから、種々の相談場面で広く活用が可能と考えられるものである。よって、本研究では、ADHD傾向のある若年成人層を対象者(約30名)とし、IPCを行う群と通常の支持的カウンセリングを行う群の2群間において、その有効性を比較することを目的とした。 2019年11月に研究者の所属する大学の倫理委員会で研究の承認を受け、研究を開始した。まずは、ADHDの多動性を測定する方法の一つとして用いるアクチグラフの試行、抑うつ状態の評価に用いる質問紙の評価などを行った。さらに、予備的検討として、研究者らが行った先行研究のデータを用い、ADHD傾向をもつ対象者についての部分解析を行った。その結果、ADHD傾向を持つ対象者の抑うつ状態に対するIPCの長期的効果の可能性を見出した。なお、対象者に対してカウンセリングを開始する予定であったが、新型コロナウイルス感染症対策のため、2020年2月末より研究を中断せざるを得ない状況となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症対策のため、2020年2月末よりカウンセリングを中止した。そのため、研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、カウンセリングが再開した際に、研究に参加可能と考えられる対象者は約10名である。引き続き、対象者を募集し、計約30名の対象者で研究を行う予定である。対象者の確保は比較的容易と考えているが、新型コロナウイルス感染症対策のため対面カウンセリングを行うことが困難と予想される。新型コロナウイルス感染症対策が長期化する場合は、対面カウンセリングをWebカウンセリングに変更するなどの研究計画の変更も視野に入れ、研究を推進していくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究立ち上げに必要とした物品の購入などについては、研究者の所属する研究室からの物資ならびに資金援助があったため、2019年度研究費の大半を被験者協力金や国際学会参加のための旅費等に費用することを考えていた。しかし、新型コロナウイルス感染症対策のために研究を中断したことにより、研究参加終了時に支払い予定としていた被験者協力金の支払いを2020年度に持ち越した。また、国内外の学会が中止または延期となったため、旅費についても2020年度に持ち越した。
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