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2019 年度 実施状況報告書

微分代数方程式に対する構造保存数値解法の理論構築と発展方程式への応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K23399
研究機関東京大学

研究代表者

佐藤 峻  東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (40849072)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード微分方程式 / 陰的線形スキーム / 高精度 / 保存則
研究実績の概要

構造保存数値解法は長時間挙動などにおいて非常に優れる代わりに計算量が大きくなるという問題を抱えることが多い.そこで,計算量を削減するための手法は既に各種検討されており,特に近年は盛んに研究されている.今年度は本研究課題の主題である微分代数方程式ではなく,まずはより単純な常微分方程式に対して計算量の小さい構造保存数値解法の研究を行った.
まず,SAV (Scalar Auxiliary Variable) 法と呼ばれる陰的線形かつ構造保存的な数値解法について,勾配流表現に基づく新たな解釈を与えた.SAV法は,与えられた微分方程式を補助変数を利用して再定式化し,その上で離散化する手法である.しかし,従来は離散化の際の指針は示されておらず,発見的に離散化されていた.本研究では再定式化したものが勾配流とみなせることを指摘し,それによりシステマティックな離散化が可能となった.この内容について,現在論文を執筆中である.
続いて,二次の保存量をもつ常微分方程式に対する陰的線形かつ高精度な構造保存数値解法を提案した.二次の保存量は様々な保存系で自然に現れるだけではなく,上述のSAV法などで各種の保存系を再定式化した際にも現れるため,提案手法が利用できる微分方程式は数多く存在する.従来知られていた高精度な構造保存数値解法は,非常に大きな非線形方程式を解く必要があり,計算量が大きくなりすぎるという欠点があったが,提案手法は線形方程式を解くだけでよく,計算量が大幅に削減されている.この内容について,現在論文を執筆中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

構造保存数値解法の文脈で有用な数値解法を構成できたので,概ね順調に進んでいると言える.ただし,本研究課題の主題である微分代数方程式への適用には至らなかったので,当初の計画以上に進展しているとは言えない.

今後の研究の推進方策

今年度は,常微分方程式に対して研究・調査を行ったので,今後はそこで得た知見を生かして本題である微分代数方程式に適用していく予定である.

次年度使用額が生じた理由

本年度は基礎的な調査および研究に終始し,成果発表に至らなかったため,次年度使用額が発生している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 保存則をもつ微分代数方程式に対する離散勾配法2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤峻
    • 学会等名
      RIMS共同研究 (公開型)「諸科学分野を結ぶ基礎学問としての数値解析学」

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公開日: 2021-01-27  

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