研究課題/領域番号 |
19K23402
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄太 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 特任助教 (30852199)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 解析的整数論 / Lambert級数 / 素数分布 / 滑らかな数 / 数論的関数 |
研究実績の概要 |
今年度は主に前年度までの研究の整理・論文執筆および投稿を行った: 1. Sumaia Saad Eddin氏との「素数2つの積の分布」の研究では, 広い一様性を持つ漸近公式および等差数列中の分布において偏りが生じるかもしれないという新しい観察を, 前年度より明確な形にまとめ 論文執筆および雑誌への投稿まで完了した. 2. Daniel Duverney氏と立谷洋平氏との「素数に関連したLambert級数の無理性」の研究についても論文執筆および雑誌投稿は完了し, また論文には記載しなかったが得られた結果の新しい見方を見出すことができた. 3. また, 種々の数論的和の分解には滑らかな数の分布が要となるが, 約数総和関数の平方無縁なべき乗数における値が滑らかな数になる頻度に関して結果を得ることができた. この結果は滑らかな数の素因数の大きさを定めるパラメータが大きい場合でも一様な評価を与えるという点では満足が行くが, このパラメータが小さい場合は先行する結果より一様性が弱いという点が課題として浮かび上がってきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は主に今までの研究結果の整理や進行中の研究の整理に時間をとり, 新しい研究テーマへ取り組むことがあまりできなかったことが主な要因である. しかし, 進行中であった研究の整理により, 研究の準備は整ったと言える. また新しい研究の方向性としては, 約数総和関数の値が滑らかな数になる頻度の評価について結果を得たので, 新年度での指数和の分解に対して応用が期待しうる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に新しい研究テーマの探索が十分にできなかったため, 今年度は指数和の評価の新技法を吸収しつつ, 指数和の評価を応用できるテーマの探索に集中する. 別テーマの研究との関係も考慮すると, Dirichlet多項式への応用も視野に入れることも有用と思われる.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は, 新型コロナウイルスにより参加予定であった種々の研究集会が中止・延期になったため, これらの出張の旅費として割り当てていた額が使用できなかったためである. この次年度使用額については, 数値計算のためのソフトウェアやリモートでのセミナーや共同研究のための電子機器購入に充てる予定である.
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