研究課題/領域番号 |
19K23406
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加藤 本子 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 特定助教 (00847593)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
キーワード | Thompson群 / 固定点性質 / CAT(0)空間 |
研究実績の概要 |
本研究では、幾何学的群論の手法を用いて、単位円の向きを保つ自己同相写像の成す群の有限生成無限部分群の構造を調べている。 特に、Thompson群と呼ばれる有限表示無限単純群とその一般化に注目して、非正曲率距離空間への群作用の固定点性質を研究している。非正曲率距離空間としては、従来着目されているCAT(0)空間に加えて、より一般的なクラスであるBusemann空間やconvex geodesic bicombingを持つ空間への群作用も扱う。 本年度は非正曲率距離空間への群作用の一般論を中心として研究を進めた。その中で、CAT(0) 空間への群作用に関する性質の一部は、convex geodesic bicombingを持つ空間に拡張しても成り立つことを確認することができた。一方で、空間の直積への分解に注目したとき、Busemann空間への群作用に関する先行研究の手法には問題点があることを観察した。この問題に対しては、特別なBusemann空間の場合に対処法を考察している。 さらに、群作用の非正曲率性について、別の観点からの研究も開始し、途中経過をプレプリントにまとめた。具体的には、扱う非正曲率距離空間の種類を変えるのではなく、空間への群作用に関する条件を変更した。この新たな方針では、現在のところThompson群やその一般化よりも単純な構造を持つ群しか扱うことができていない。しかし研究が進めば、これらの群の研究に応用することが可能である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請した研究計画は先行研究の手法に問題が見つかったため修正を必要とすることがわかった. 現在ある程度まで修正作業が進んでいるが, 申請内容に比べると遅れている. また, 関連する別テーマ(交付申請書に記載の研究目的の範囲内)の研究を開始しており, 今年度の業績は主に後者のものとなった.
|
今後の研究の推進方策 |
(1)本年度の研究に引き続き, Busemann空間への群作用の性質と固定点性質への応用について研究する. (2)新しいテーマとして, 群の双曲空間への非シリンダー的作用に着目している. これについて, 扱うことのできる群の種類を広げる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由:新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、出張を予定していた研究集会が中止・延期されたため。 使用計画:延期された研究集会の開催費として利用する。ノートパソコン、プリンター、wifiルーター等の物品を購入する。
|